歯周病
歯周病は、口内細菌(歯垢や歯石等固体内の細菌も含む)が原因で、歯周組織に炎症を引き起こし、歯を支える組織である歯肉を後退させたり、(歯槽)骨が溶けてしまう疾患です。
口内細菌はお口の中全体に浮遊しているので、どこにでも着床し、局所的でなく全体に起こる事がほとんどです。
症状としては、歯肉からの出血や、歯の動揺、歯肉の腫れ等があり、悪化すると歯が抜けてしまう場合もあります。
歯周病は全身状態にも影響を及ぼし、糖尿病の悪化や、心臓疾患、脳血管疾患の一因ともなり、高齢者では、誤嚥性肺炎や認知症のリスクも高くなります。
全身の健康のためにも治療が必要ですし、逆に全身状態の悪化は、歯周病症状の悪化にも繋がり、相互の関係に留意することが大切です。
*「診療基本姿勢」の ●全身状態に留意する歯科治療 参照
歯周病治療は、歯磨きなどご自分で行うセルフケアと、歯科医院で行う治療の両方で成り立つもので、ご自分の歯磨きだけでも、歯科医院での治療だけでも、十分に歯周病を改善させるには至りません。
当院での治療は、ブラッシング指導や歯石除去、歯周ポケット内のお掃除や根面の平滑化(SRP)、PMTCを基本に、歯周病は細菌感染症という認識の下、上記の外部からの治療に加え、お口の中全体の細菌を減らすという考えから、内科的な歯周病治療にも取り組んでいます。
また、重度になった場合は、簡単な歯周外科治療までなら行います。
PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)
PMTCとは「歯科医師や歯科衛生士により、専用の機械を使って行う歯面清掃」の事で、日常の歯磨きだけでは除去する事ができない、歯垢やステイン(着色)、歯の表面にねばついた細菌膜のようなバイオフィルム等を取り除き、歯面清掃、歯面平滑化をする事で、汚れやプラークが付着しにくくし、見た目も美しくします。
内科的歯周病治療
当院では、20年以上前から歯周病は細菌感染症という認識の下、歯石除去やSRPやPMTC等の外部からのアプローチだけでなく、身体の内部からアプローチする、内科的歯周病治療を行っています。
①位相差顕微鏡検査
患者さまの今後の歯周病治療に対する動機付けとし、希望される方のみ、口内の唾液や歯垢を2~3滴検体として採取し、スライドグラスに乗せて位相差顕微鏡にセットします。
診療チェアー前に設置しているモニターに動き回る細菌が映し出され、その動画やキャプチャー画像はPC内に保存され、後に再度顕微鏡検査をした場合、治療前後の細菌数や動きが比較できます。
②歯周病基本治療
歯石や歯垢除去等の歯周病基本治療も当然必要です。
③ペリオバスターによるブラッシング
ブラッシングは、ペリオバスターという抗菌液を併用しての特別なブラッシング方法ですので、そのやり方の指導をさせていただきます。
④内服抗菌薬の投与
現在では常態化していますが、当時まだ歯科治療での投薬が珍しかったジスロマック(マクロライド系抗生剤)などの抗生剤を投薬します。
⑤1~2週間後、位相差顕微鏡で再度検査
当時は、ペリオバスター(抗菌液)を使用する為には、位相差顕微鏡で顕微鏡検査をしてからでないと使用できないという取り決めみたいなものがありましたが、現在、それは無くなり、顕微鏡検査なしの、ペリオバスターの処方と、抗菌剤の投与だけの内科的な歯周病治療も行っています。
歯周病基本治療だけで改善されない場合に、内科的歯周病治療を併用する事により、難治性の歯周病がかなり改善されることが実証されています。
ペリオバスター
天然植物から抽出されたエキスを熟成し、分子レベルまでマイクロクラスター化した、活性イオン水で安定化させた天然植物製品。医薬部外品 薬用です。
一般的な歯科治療がない方、治療の前後、定期健診時に、当院では開院当初から担当の歯科衛生士が”治療枠”とは別に”予防枠”の時間をお取りして、むし歯や歯周病の予防、審美面の維持や回復を目的に、口腔ケアを中心とした”予防歯科”を設けています。